2023-06-07

 ガルシア・ガルシア

こんにちは。

 

函館 中道のピアノ・ソルフェージュ教室、おんぷやです。

 

 

一昨年のショパンコンクールで3位を受賞したスペイン出身のピアニスト、マルティン・ガルシア・ガルシアのコンサートを聞いてきました。(ガルシアが2度続くお名前です)

 

 

2年前のショパンコンクールの時、SNSに上がるインタビューや演奏を見て、伸び伸びした お茶目な性格という印象を持ちましたが、演奏に入る前の様子は、むしろ内気で真摯に曲と向き合う人のような雰囲気でした。

 

演奏に入ると、時折、明るく細い声でメロディーを口ずさみながら弾く様は、まるでグレン・グールドのようです。

 

 

ポロネーズや、シューマンの交響的練習曲は聞いていてスカッとする歯切れの良さですが、個人的には「3つのワルツ」の中の、華麗なる円舞曲が圧巻でした。

 

澄んだ珠玉の明るい音の連続の中に、時折ふっと現れる、暗くて寒い孤独な音は、深淵を覗くようで、その都度ハッとさせられます。

 

 

2021年のインタビューで、彼は「ショパンの作品の中にはいつも2つの対立するものがある、光も闇も単独には存在しない」と話しているのですが、まさにそれを体現しているかのように感じました。

 

 

 

生きていれば、良いことと悪いことが光と闇、陰陽のように存在していて、光があるから闇もあると思うのですが、インタビューを思い出して、それと通じるものがあるなあと思いながら帰途についたのでした。

 

 

誰しも希望や不安、様々なものを胸に抱きながらそれぞれの人生を歩きますが、その中で時折今日のような音楽を聴ける大きな喜びがあって本当に良かった…

 

 

色んな色の音をたくさん聞いた良い夜でした。